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神永 雅紀; 数土 幸夫
日本機械学会論文集,B, 58(553), p.2799 - 2804, 1993/09
研究炉では、高中性子束を達成するために高出力密度の可能な板状燃料が一般に使用されている。板状燃料を用いた燃料要素の冷却材流路は、狭い垂直矩形流路であり、このため狭い垂直矩形流路における限界熱流束(CHF)の把握が重要となる。しかし、従来、研究炉の設計等で使用してきた垂直矩形流路における限界熱流束相関式は、高質量流量域において上昇流と下向流のCHFの相異が必ずしも明確にされていなかった。本研究では、流路出口サブクール度の効果に着目し、既存の矩形流路におけるCHF実験結果を用いて,サブクール度の影響を調べた。その結果、上昇流と下向流のCHFは、流路出口のサブクール度と質量流量の関数として系統的に整理できることが明らかとなった。さらに、本研究で検討した、圧力4MPa以下及び無次元質量流量2200以下の範囲で適用可能な限界熱流束相関式を導出した。
数土 幸夫; 神永 雅紀
J. Heat Transfer, 115, p.426 - 434, 1993/05
被引用回数:44 パーセンタイル:90.61(Thermodynamics)研究炉では、高中性子束を達成するために高出力密度の可能な板状燃料が一般に使用されている。板状燃料を用いた燃料要素の冷却材流路は、狭い垂直矩形流路であり、このため狭い垂直矩形流路における限界熱流束(CHF)の把握が設計上重要となる。しかし、従来、研究炉の設計等で使用してきたCHF相関式は、高質量流量域において上昇流と下向流の相異が必ずしも明確にされていなかった。本研究では、既存の矩形流路における実験結果を基に、どのようなパラメータがCHFに影響を及ぼすのかを系統的に調べた。その結果、高質量流量域では、上昇流と下向流のCHFに有意な差異は見られず、流路出口サブクール度と質量流量の関数として整理できることが明らかとなった。さらに、本研究結果に基づきこれまで研究炉の設計に用いてきたCHF相関式群に改良を加えたCHF相関式を提案するとともに、その適用範囲を明確に示した。
神永 雅紀; 数土 幸夫; 村山 洋二; 薄井 徹*
Heat Transfer-Jpn. Res., 20(1), p.72 - 85, 1991/03
板状燃料を使用する研究炉の熱水力設計及び安全評価においては、垂直矩形流路における限界熱流束の把握が重要である。炉心内の出力は軸方向に分布を持つが、JRR-3等の研究炉の熱水力設計では、既存の一様加熱条件での限界熱流束に関する実験データを使用し、かつ、出力分布の最大値で一様に発熱しているものとしている。これは、研究炉に適用可能な比較的低圧条件下での出力分布を考慮した限界熱流束に関する実験データがほとんど無いためである。そこで、本研究ではJRR-3の燃料要素の1サブチャンネルを模擬した垂直矩形流路を用い出力分布を有する場合の限界熱流束を実験的に調べ、一様加熱の場合と比較・検討した。その結果、一様加熱条件下で得られた限界熱流束相関式は、出力分布を有する場合に対しても最大熱流速を基準にとれば33%の誤差内で一様加熱の場合と同様に適用できることが明らかとなった。
神永 雅紀; 数土 幸夫
Proc. of the 1st JSME/ASME Joint Int. Conf. on Nuclear Engineering,Vol. 1, p.73 - 79, 1991/00
研究炉では、高中性子束を達成するために高出力密度の可能な板状燃料が一般に使用されている。板状燃料を用いた燃料要素の冷却材流路は、狭い垂直矩形流路であり、このため狭い垂直矩形流路における限界熱流束(CHF)の把握が重要となる。しかし、従来、研究炉の設計等で使用してきた垂直矩形流路における限界熱流束相関式は高流量域において上昇流と下向流の相異が必ずしも明確にされていなかった。本研究では、流路出口サブクール度の効果に着目し、既存のCHF実験結果を用いて、サブクール度の影響を調べた。その結果、上昇流と下向流のCHFは、流路出口サブクール度と質量流量の関数として系統的に整理できることが明らかとなった。さらに、本研究結果に基づきこれまでに研究炉の設計に用いてきたCHF相関式群に改良を加え、新たにCHF相関式群を提案した。
数土 幸夫; 薄井 徹*; 神永 雅紀
JSME Int. J., Ser. II, 33(4), p.743 - 748, 1990/00
板状燃料を使用する研究炉の熱水力設計および安全評価に用いる熱伝達パッケージ開発のため、流路ギャップが18.6および2.5mmの垂直矩形加熱流路を用いて行ったきた伝熱実験に基づき、矩形流路内を流れる水の主として共存対流場での熱伝達特性に及ぼす流路ギャップの効果を調べた。流路ギャップ18mmのときのデータに基づき導出した熱伝達相関式は、流路ギャップが6および2.5mmの場合のデータに対しても適用できることが明らかとなった。特に、流路ギャップが2.5mmの場合、レイノルズ数が遷移レイノルズ数に近いRe=2000~3000の範囲にあるデータは、前述の式により過大評価される傾向を示すが、これは流れが層流から乱流へ遷移することに起因するものと考えられる。
数土 幸夫; 宮田 佳一*; 井川 博雅; 大河原 正美; 神永 雅紀
JAERI-M 85-126, 95 Pages, 1985/09
本報告書は、JRR-3改造炉の炉心熱水力設計において重要な位置を占める強制対流下での沸騰開始(ONB)条件とDNB熟流束について実験を行い、設計に用いるべき相関式の妥当性と適用性の検討を行った結果とについて報告するものである。JRR-3改造炉は、定格出力20MWのいわゆる低圧低温の研究用原子炉であって炉心は200KWまでの上昇流による自然循環冷却と20MWまでの下向流による強制循環冷却による2モードの冷却方式を採用する。従って本実験では、上昇流と下向流の熱水力特性の相異に注目した。同時に、熱伝達特性が流路の形状に強く依存する可能性のあることに留意し、JRR-3改造炉の燃料要素の1流路を模擬した加熱流路で実験を行ったものである。
数土 幸夫; 宮田 佳一*; 井川 博雅; 神永 雅紀
Journal of Nuclear Science and Technology, 23(1), p.73 - 82, 1985/00
被引用回数:34 パーセンタイル:93.68(Nuclear Science & Technology)JRR-3改造炉の燃料要素内の1サブチャンネルを模擬した垂直短形流路を用いて実験を行い、JRR-3改造炉の炉心熱水力設計に用いた沸騰開始時の加熱度を予測する相関式の妥当性と誤差を調べた。その結果、(i)従来のBergles-Rohsenowの式は、実測値と比較し下限値に対し約1Kの誤差で沸騰開始時の熱流束と加熱度の関係を良く予測しうること、(ii)上昇流と下向流とで、沸騰開始時の熱流束と加熱度との関係に顕著な差が無いこと、さらに(iii)上昇流、下向流いずれにおいても、沸騰開始点の加熱度にオーバシュートがほとんど見受けられず、強制対流からサブクール沸騰にいたる熱流束と加熱度の関係にも熱流束の昇時と降下時とで、顕著なヒステリシスが見受けられないことがわかった。
数土 幸夫; 宮田 佳一*; 井川 博雅; 神永 雅紀; 大河原 正美
Journal of Nuclear Science and Technology, 22(8), p.604 - 618, 1985/00
被引用回数:59 パーセンタイル:97.81(Nuclear Science & Technology)研究炉JRR-3は、20%低濃縮ウラン燃料を用い熱出力20MWに改造される予定である。このJRR-3の燃料要素中の1サブチャンネルを模擬した垂直矩形流路を用い、DNB熱流束を上昇流と下降流との場合について実験的に調べた。実験は、JRR-3の安全解析で対象となる流束及び圧力の条件で行なわれた。本実験の検討と将来の矩形流路及び他の流路での実験結果の検討から、上昇流及び下降流に対するDNB熱流速評価式を導いた。これらの評価式は矩形流路のみならず他の流路にも適用可能である。